五龍閣

たてもの探訪Ⅱ(山城129) 

2025年8月9日公開

京都市東山区


◆れきし

 この建物は、清水焼窯元から洋食器・碍子(ガイシ)・陶歯への製造と事業を発展させた起業家・松風嘉定(しょうふうかじょう)の邸宅として、大正10年(1921)に竣工。設計は、京都帝国大学建築学科の創設者・武田五一によるものです。

 昭和51年(1976)に、美術品収集、数寄者として名高い上田堪一郎(湯豆腐・順正創業者)が購入し、現在「CAFE五龍閣」の店名で、カフェレストランを営業しています(平成11年に国登録有形文化財)。

◆みどころ

 木造3階建て(望楼付)で、3階まで吹き抜けの階段室があり、4階の望楼からは京都盆地一望と、大阪湾までの眺望が開けています。

 外観は人造洗い出し仕上げの外壁、ベイウインドウ(出窓)、テラスなどは洋風ですが、瓦屋根を幾重にも重ねて鴟尾をのせ、和風の意匠を組み合わせるつくり。内装も和洋折衷で、ステンドガラス・暖炉・タイルと洋風を基調に、折り上げ格天井などがあしらわれています。

 内外部ともに当初の姿がよく保存され、京都における「進取」あふれる住宅建築として異彩を放っている点で、高い評価をうけているのです。

国登録文化財

バルコニー

階段


階段

1階

1階サンルーム


1階サンルーム

1階玄関タイル

1階暖炉


2階格天井

2階

2階


修補の鴟尾(平成30年、順正上田堪一郎)

当初の鴟尾

3階暖炉


望楼から清水寺

望楼から大阪ビル群

望楼から西山