出雲大社

たてもの探訪Ⅴ(拾遺46) 2025年6月28日公開

島根県出雲市 訪問:2025年2月26日


◆れきし

 古代より杵築大社(きずきたいしゃ)とよばれ、神話における「国譲り」のなかで創建(明治4年に出雲大社と改称)。貞観9年(867)には正二位に叙せられ、出雲国一宮とされました。

 伝承や呼び方は様々ありますが、天津神によって、国津神である大国主大神の宮が建てられたという由緒のもとで、古代における国家的な事業として造営がなされてきたのです。

  鎌倉時代になると、神仏習合の影響を受けて鰐淵寺(天台宗)との関係が深まります。鰐淵寺は杵築宮の神宮寺となり、境内には仏堂や仏塔が建ち並びました。このため神事が衰微する事態となりましたが、寛文7年(1667)の大造営の時、出雲国造家が神仏分離を主張して仏教にかかわる堂舎を排除し、祭神を素戔嗚命から大国主大神に復し、今日に至ります。

◆見どころ

 国宝の御本殿は延享元年(1744)の造営で、大社造とよばれる檜皮葺き、切妻・妻入り形式。規模の大きさ、高い床、太い部材など、目をみはる雄大な社殿です。御本殿を取り巻く三重の垣根・回廊、八脚門・観祭楼・楼門、摂社・神饌所、銅鳥居など、ほぼ同時期造営の21棟1基が重要文化財です。東西の十九社を含めた境内を一巡すれば、国譲り神話の由緒にふさわしい、深遠な世界へ誘われます。

 境内から西に向かうと、そこは「稲佐の浜」。旧暦の10月、全国から八百万(やおろず)の神々が集まって来るのです。

拝殿

八脚門

八脚門


本殿、御向社・天前社

素鵞社

銅鳥居


参道

稲佐の浜

弁天島