瑠璃光寺

たてもの探訪Ⅴ(拾遺48) 2025年9月24日公開

山口県山口市 訪問:2025年5月7日


◆れきし

 大内氏25代当主の大内義弘(1356-1399)が、この地に建立した香積寺が始まりです。義弘は、最盛期には周防・長門・豊前・和泉・紀伊の6ヵ国を支配する室町幕府の有力大名でしたが、足利義満に対して反乱を起こした「応永の乱」で敗死。国宝五重塔は、その死を悼んだ弟の盛見によって建設が開始され、盛見の戦死後の嘉吉2年(1442)頃に完成しました。

 その後、天文9年(1540)に仏殿が建てられましたが、天正年間に安国寺恵瓊によって不動院(広島市)へ移築。この建物も、最大規模の中世禅宗仏殿として、国宝に指定されています。

 寺号の「瑠璃光寺」は、元禄3年(1690)に移転してきた寺院によって改称されたもので、現在の宗派は曹洞宗。

◆見どころ

 檜皮葺きの屋根が美しい五重塔は、大内文化の最高傑作といわれ、醍醐寺(京都)・法隆寺(奈良)とならぶ日本三名塔の一つ。二層にのみ回縁がついているのが特徴で、内部には円形の須弥壇があり、大内義弘像と阿弥陀如来像が祀られています。

 2023年から始められた、約70年ぶりとなる檜皮の全面葺き替えを終え(令和の大改修)、新緑に映える美しい姿を拝観しました(2025年5月素屋根撤去)。