毛利氏庭園・旧毛利家本邸

たてもの探訪Ⅴ(拾遺50) 2025年8月31日公開 山口県防府市 訪問:2025年6月11日 


◆れきし

 旧長州藩主毛利元昭が、国元に建てた邸宅と回遊式庭園。多々良山の南麓に約53.000㎡の敷地が広がり、大正5年(1916)に完成した1,200坪の豪邸を構えています。庭園は国名勝(1996指定)、本邸は重要文化財(2011)指定。

 本邸の一部は毛利博物館となっており、戦国の名将毛利元就以来の家宝(美術工芸品・歴史資料)約20,000点のコレクションを所蔵。有名なものとしては、雪舟筆の名宝「四季山水図」(国宝)や、元就自筆「三子教副状」(重要文化財)が挙げられます。

 

 ◆見どころ

 旧山陽道から松並木・表門を経て、邸宅玄関まで続く路傍庭園は、さすが元大名家の格式。内庭は、大きな瓢箪池を中心に、川の流れや瀧、堤塘で構成された豪快・壮麗な景色が広がり、さらに梅・桜・ツツジ・藤・モミジなど四季の植栽によって、変化に富んだ風景が楽しめます。

 本邸は、10棟60部屋からなるヒノキ造り、木造瓦葺き。唐破風付きの車寄せや格天井の広間など書院造りの和風建築ですが、一部洋室があり、絨毯・シャンデリアなどの内装も用いられています。さらにコンクリートによる補強、大理石の湯殿、自家発電施設など、当時の最新技術を見ることもできます。

 江戸時代の大名御殿さながらの規模や装飾からなる[伝統」と、さらに近代和風建築の粋を散りばめた「先進」が融合した建物が、大庭園のパノラマと一体となって、毛利家の世界に誘ってくれます。

 

本門

旧本邸玄関

旧本邸


大燈籠と旧本邸

1階大広間

1階座敷


1階座敷

1階廊下

2階大広間


2階意匠

2階窓ガラス

2階から遠望